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2023/3/21

もうすでに雪のない、秋田出張は残念ながらとんぼ返り。無音で夜の高速、考え事。

2023/3/18

先日は雨なので畑作業できず、とれた大豆で豆腐作り。みなで台所をかこむと手持ち無沙汰になる。そういう時に平気で何もしない能力が必要になる。暗くなってにがりを求めてみなで車に乗り込み砂利道を進んだ。

翌日は家にいる。親戚に電話。「夢で逢えたら」の大瀧詠一バージョン、ギター弾く。自然と速くなるのに気づいたら、速度をおさえてほとんど力を抜くようにする、するとリズムがとれてきてまわりが見渡せるような気がして、小さい音で声を張らなくてもちゃんと歌えるようになる。

プリント作業少し。スピルバーグの「戦火の馬」を途中まで。人間ではなく馬を主人公にすることで戦争の両陣営を一本の映画で描くことができる、これで思い出したのが、つげの「峠の犬」。とつぜんいなくなった愛犬が、全く違う家で別の名で呼ばれなにくわぬ生活をしているという話。この漫画は鶴見俊介の本で知った。鶴見俊介は戦時中にアメリカと日本を行き来した人で、だからこの犬に反応する。居場所はなく不安定なままで社会の外側にたつ、そこからしかみえない景色がある。

夜はきんぴらとカレー。

2023/3/17

夜中に花粉症状ひどくて起きる。ティッシュの山、どうしようもなく立ち上がりティッシュを床にたたきつけてトイレにいく。コーヒーいれてギター。部屋片づけ。花粉の薬買いに行って、家でしらす丼。午後は近所の大山さんの直売野菜買いに。椅子をだしてもらって近所のお客さんとコーヒーのみながらお話、自己紹介。FCTのポスターをはらせてもらった。帰ってあたらしく西側倉庫にカーテンの設置。掃除して料理。ごぼうとフキのてんぷら。

2023/3/16

駅のコンビニで病院泊まりの食料など買い込んで福島からようやく着いたのは22時過ぎで、兄が先にきている、父の息はとても小さい、おにぎりを食べてる間にさっそく息のリズムが崩れてきて耳元で声をかける。間もなく息は先伸ばしになって動かなくなった。着いてから20分たらず。長くなると思っていたらあっという間だった。斎場に運ばれる父を見送ったら、タクシーで兄と実家へ。翌日は葬式の打ち合わせや親戚に連絡。思い出しても父とは言い争ったり、喧嘩した思い出ばかりででもやりとりはしぶとくやめなかった。これ以上ないくらい徹底した反面教師としての学びがあった。父は子供たちを理解しようとしたが、とうてい理解できないものを理解できると思っているところが父の苦しみだった。実家にもう一泊して福島に帰ってくる。うさみが摘んでくれたフキとミモザをくれた、ミモザを棚に飾ってフキ味噌つくる。それといわしのつみれで味噌汁。ギター弾く。

2023/3/7

 

花粉量の多さは10年に一度、去年の12倍というニュース。普段の薬ではたちうちできず、部屋中に唾液と鼻水が散乱。兄から電話、荷物を急いでまとめて家をでていわき駅についたところで再度電話があり、一度引き返すことになった。特急券を払い戻し、帰って確定申告作業を強引にまとめあげる。

 

 

2023/3/5

​高速バスの時間、わけあって平倉圭「かたちは思考する」読み、マティスの「夢」についておおいに触発されてメモ。伯父とハチ公前で落ち合ってインドカレー、父の見舞い。父は睡眠薬で朦朧としている。移動、渋谷、強風。後藤くんち近くでせいじ交えて飲む、せいじがかっこいいコートをくれてうれしい。後藤くんちでK-POPなどいろいろ。翌日はせいじが最近人から譲ってもらった軽のスポーツカーに乗って恵比寿、深瀬昌久レトロスペクティブ展。もちろんすばらしいが、もうこれまでとは違った。人は誰しも時代の犠牲者であるという思いに。福島に帰り朝のバラカンラジオはデヴィッドクロスビー追悼、天才だらけ。はるかが企画してくれたデイキャンプイベント参加。大きなボールにたくさんの米をゆっくりまわして研いだ手のひらの感触。焚き火とカレー。翌日は鴨長明の終の住処である「方丈の庵」を実際につくる講習に参加。自力建築への第一歩。楢葉の仲間と、切実なので必死に食らいついて学ぶ。そのあと畑の片付け作業まで。帰って豚汁とJ-hope「on the street」。

 

 

 

 

2023/3/1

 

3月になった。今日も気温が上がる。庭の福寿草。スキャンした写真をプリント一気に進める。ジョン・ミューアの文章読んでみたら、すぐ神とかなんとかいいだして大げさで困るのはソローもそうだった。というのもアメリカでは自然は神と接触するための媒介であり、この自然こそがヨーロッパにはないアメリカ独自の宗教観と結びついているらしい。自然と合一することで啓発され、自己は肯定される。それがアメリカのプロテスタント的反知性主義や大騒ぎの政治運動と結びついているという。そういう​自然にたいするロマンティシズムときちんと距離をとること。「自然は地獄だ」というヘルツォークの信頼できるところはこの距離感であり、多くの人がヘルツォークにつまずく分かれめになっている。

 

2023/2/28

 

各方位へ確認のメール、請求書送信。あたたかくなって、進む時間をかみしめるようにすごす部屋の時間。いろんな人からメールがきてやりとり。兄と電話、父はかなり悪い。午後はJMTスキャン作業、3回目の全フィルムローラー作戦、みずからこしらえたフィルムの森にわけいっていく。現像は第二の撮影、迷いながら杣道をもとめて夜まで。

 

 

2023/2/27

 

昼間、制作中のFCTマップブックの校正作業。夕方に終えてCANVASへ移動、鴨長明「方丈記」読み。平安から鎌倉期にかけて飢餓や竜巻や火事や地震とこれでもかとさんざんな世にこういうものが書かれたし、訳した蜂飼耳の序文によると堀田善衛が「方丈記日記」を書いたのは戦争の最中に長明のそれに重ねた、とある。そして今は、ということである。夜はkashiwayaにて美大に合格した高校生ふたりとお祝いの会。ひとりは秋田、ひとりは新潟の美大。時間を忘れてしゃべってしまい、お母さんが車でお迎えにきたので、駐車場で挨拶をかわして、ふたりはそれぞれ引き取られていった。

 

2023/2/24

 

久しぶりの歴史講座参加。バスに乗りながら話していると震災当時のことがぽろっとこぼれてくる、退職金で建てたばかりの家だった、余震が続く中、家が壊れはしないかと気が気じゃなく、揺れる地面に向けて「やめろ!」と叫んだ。大切なのはあらかじめ用意された言葉ではないこと。図書館に本を返却、贈り物の発送、保険証再発行、診療所に花粉症の薬をもらいにいく。大山さんの野菜買っておしゃべり。よくない電話。仕事できずに夜になった。どんこ鍋とバカラック。千夜一夜物語のちくま文庫フルセット買うか悩む。

 

 

2023/2/19

毎週末東京。実家の鍵を忘れて近くのラブホテルにひとりで宿泊。週末なので高かった。広いガラス張りの風呂でシャワー。渋谷から広尾までライカもって歩く。入院中の父は個室を出るとコロナのこともあり面会ができなくなる。ある程度の覚悟で会いに行くが、コーヒー飲みながらいつもの雑談。広尾の高台からの眺め。父は繰り返し磯崎新を目の敵のようにいう。悲しい恨み節だ。建築という言葉の意味はとっくの前から拡張されているが、父はまっとうでモダンで常識的な建築観で生きてきて、確固たる自分の定規を手放せなかった。目盛りで測れないものはなんでも切り捨てた。東京にいくと当然すべて外食になるが、下痢をする。帰りの夜のバスは満員。休憩をはさむと前半後半でそれぞれ一時間半。前半はマークフィッシャー読み。後半はバラカンラジオのバカラック特集を堪能。ポップソングだからどれもすでに知っているような親しみのある耳さわりなのに、聴いてるとどれも奇妙に複雑、つかみどころがわからないメロディーとリズムの中に迷子になって前後不覚のここちよさ。

 

 

 

2023/2/16

寒い日がつづく。雨戸をあける。ギターずっと弾く。いまさらながら、もっとうまくなりたい。ディランの来日先行申し込み完了。確定申告作業。​父から連絡、容態にまた変化があった。兄と連絡とりあう。夜は以前、ずっと中東で仕事をしてきた塩塚さんによるトルコ・シリア大地震、の解説をきく会。自分はずっと前から今にいたるまで、遠くで起こっているできごとを、うまく自分の近くに引き寄せて想ったり考えたりすることができない。

 

2023/2/15

 

​寒い。スキャン写真整理。ならはCANVASまで歩いて往復。確定申告作業はじめ。

ひきこもって、FBはじめSNSの窓から外をながめている。この地域には秘密が足りない。声を大きくはしないで、ほんの近い人たちをこそこそと集めながら、少しずつ、穴を掘って地下空間を広げていくこと。

ポトフとビビンバ。アラン・ムーア「ネオノミコン」読み。

 

2023/2/14

 

外にでて雨戸をあけると、力が湧いてくるような気がした。ついにからだが回復したかもしれない。コーヒーをいれて、新鮮なきもちで身のまわりの整理に着手。フィルムが届いたのでスキャン作業しながらラブクラフトとマーク・フィッシャーをノートにメモ書き。特にH・G・ウェルズの「白壁の緑の扉」のところ。ギター弾き。天神岬に忘れたカメラをピックアップ。買い出し。ニコ「Desertshore」流して、引きつづき本の書き写し。BlackHoleのアラン・ムーア「ネオノミコン」特集。

 

2023/2/13

東京。お世話になった河津先生の退任のあつまりと同窓会をかねて、かつて働いていた武蔵野大学へ。久しぶりの顔、喋り足りない。うまい焼き鳥、夜まで飲む。日をまたいで実家に帰ると、父はベッドに横になれず、椅子に座ったまま苦しそうにしている。翌朝、日赤の急患に連れていく。待合で父はコンビニのおにぎりをうまいといって食べる。いくつも検査を重ね、何度も医者が扉からでてきた。待合でうとうとしてると、とうとう入院がきまった。病棟を上がる父を見送って帰る、翌朝、帰福。バスの中でラブクラフトとマーク・フィッシャーを交互に読んでいると、ついにやる気がでてきた。

 

2023/2/9

朝から家そうじ、たまごを焼いて、具材はそろった。堺くんが先にきて、キンパを巻くところを写真に撮ってくれた。台所のまどの光がやわらかくて、キンパの具材の色をあざやかに引き立てた。あとからみんながきてキンパを切って、並べて食べた。それから部屋をうつしてみんなでギターを弾いたりおしゃべり、ウサミは奥の部屋で打ち合わせした。酒を飲まないで、暗くなるまでダラダラした。部屋が本来の役割を思い出したみたいに、いきいきしていると思った。こういうことがずっとしたかった。

 

 

2023/2/8

テキストかけない旨を連絡。編集の人と電話していいわけを述べ続ける、コロナもあったし移住もあった、歳もとった。歩き方も変わる。歩いていないが、歩いているように生きることはできる。夕方から酒飲んでキンパづくりの準備、タクワン炒めたり、キムチ鍋。マーク・フィッシャー「奇妙なものとぞっとするもの」読み始めて、近づかないでいたラブクラフトを注文。

 

2023/2/7

家でFCT仕事、テキスト書き。ならはCANVASに移動して別のテキスト書き。ギリギリまでねばってあきらめる。やっぱりだめだった。CANVASの席から立ち上がり、2階の吹き抜けのてすりに身体をあずけ、1階の床にダウンライトが作る影を、呆然とみつめる。夜はkashiwayaにてウサミの誕生日のお祝い。みんながいればやっていける。

 

 

2023/2/6

引き続きテキスト書き。柄にもないことを書いた。よくないかも。

身の回りの近くのものだけが語りかけてくるわけではなく、ときに遠くのものが、ぐるっと大きな弧を描くことで、いまの自分を取りまく環境を理解させてくれることが、ひんぱんにある。安東さんの新刊、ハンフォードしかり、今夜みている、スパイクリーの映画だったり、いっけん無意味にしか思えない、荒唐無稽なフィクションだったりする。

 

 

 

2023/2/5

​日曜の朝。テレビすぐ消す。なにもしたくない、ひきこもって、役にたたない練習。トレイル仕事の反動がどっと押し寄せてきている。反動が大きすぎて、片側にひきよせられたまま、元に戻る兆しがみえない。テキスト書き、うまくいかない。早々にあきらめて家で掃除と料理。ねずみの罠をのぞくのが怖い。糞の掃除。なぜかパラニュークの新作「インヴェンション・オブ・サウンド」読みながら、ポテトサラダとカレーつくる。アマプラで眠れぬ夜のゴダール「イメージの本」。

 

 

2023/2/4

 

​XGとかテヨン×ジミンとかジョン・ケイルの新アルバムとかもろもろ巡回。家主の長岡さんにご挨拶と補修工事の御礼。歩いてCANVASに向かうも体調悪い。テキストうだうだ書けない。頭の中では組みあがってる感覚があるからあとは書くだけ。父が新しいかけ布団を送ってくれたのでお礼の電話、終活をはじめるという。キンパの材料買ってきた。こないだkashiwayaでキンパ屋やる夢を思い出させてもらった。

 

 

 

 

2023/2/2

午前、家の補修工事など立ち合い。ネズミの穴が塞がった。領収書、請求書。終わって外へ。久しぶりに富岡の図書館へ。ようやくこの静かな場所に来ることができた。文芸誌を数冊とって窓際の席へ。パノラマの一面の窓にふちどられた、冬枯れの広葉樹が並ぶ風景。カウンターにいったら返していない本があるという、日付は9月、思えばその頃から忙しくなった。ならはCANVASに移動してテキスト書き。カレー作って、夜はFCT打ち合わせ。

 

 

2023/1/31

ようやく日常復帰、車を運転。久しぶりの外の世界におどおどしている。あたまはふわふわ。買っておいて全然読んでなかったし、これからもほとんど読まないだろうユリイカのゴダール追悼号パラパラしてたら「フォーエバーモーツァルト」の澄んだ映像が浮かんできて、一瞬水面から反射した光が脳内に差し込んでくるみたいな瞬間があり、病み上がりの勢いもあってBlue-rayを購入。

 

 

 

2023/1/30

父がおまえもマスクしたほうがいいと言ったのはもう帰る日の朝だったので、すでに手遅れ。数日後にのどに違和感があり、油断したと舌打ちをしているとやがて発熱、3日間まるごと寝込んだ。さつまいものお粥をつくって食べるのが限界。皿はまともに洗えず、ゴミがテーブルの上に散乱。映画も本も受け付けず、唯一、志ん朝の落語だけが効き目あり。ようやく立ち上がると、新しい身体に入れかわったような気がして、すがすがしい気持ち。立春まであとすこし。

 

 

 

2023/1/26

父は少し熱が下がってきたという、状況を兄に報告して福島帰り。PIZZICATE ONE流す。冬になると一連のアルバムを必ずきくようになる。冬しかきかない。とても悲しいうた。​世の中はまともなふりをしているだけなので、悲しいこの音楽が、部屋の空気の均衡を保ってくれるようなきがする。ぱかっと開いた傷口がゆっくりとふさがるような気持ちになる。もはや狂気でもって正気を保つのだ、というのはBTSのONの歌詞だった。

 

 

 

 

2023/1/25

大友さんのジャズラジオ、MJQ特集。PIZZICATE ONEのライブアルバムで小西さんがMJQのライブについて語っていたMCを思い出す、音の小さい葬式のようなとても静かなライブだったのだが、近づいてよくみるとメンバーがみんな汗だくになって、実はすごい熱狂していることがわかった、という話。こういう表現のかたち。派手にたたみかけるのではなく、抑制に力をそそぎ、時間をかけてじっくり芯まで熱をとおしていく。あるいは低温やけど。自分の写真も、歩くこともこちらがわの、文学も、本の中でひんやりと音のない叫び。

父は夕方以降また発熱、病院に連れて行って薬もらってくる。

 

 

 

 

2023/1/23

休みなく、シンポジウムおわって、翌日はまゆこさん、楢葉を案内、見送ると呆然としてなにもできなくなって、床に横たわりストーブの風を受けるが、重い腰をあげて東京へ。日本橋で写真集打合せ。翌日、菊川の映画館strangerへやっとこれた。ドン・シーゲル特集2本みる、ラーメン早食いで劇場にかけこむ。おわっておさむくんと喫茶店で話。みな40代、ますます暗い霧の中を進んでいる。最強寒波の風が吹いてきた、実家へ。父は映画をみはじめてもすぐに寝てしまう。熱があるらしく測ると38度5分、解熱剤がないので自分がドラッグストアに買いに行く。寒波を東京でやりすごすことに決める。

 

 

2023/1/5

正月、川崎の実家、姪とメールアドレス交換。後藤くんと川崎競馬場詣で。後藤くんが買った馬はラスト鼻差の写真判定で負け。頭をかかえつつ、それでもいいレースがみれたと競馬場をあとにする。翌日は吉祥寺の女子会に潜入。父とはテレビで流れてきた「ドライブマイカー」再見。テキストがそれを発語する人間の内面を表に引きずりだしてしまう。チェーホフのテキストはおそろしい、と家福はいった。演技ってますますよくわからない。自分は高槻が気になる。

父に交通費渡された。帰福。

 

 

 

 

2023/1/2

大晦日、富岡のななみちゃんの家で 若者にかこまれて焚き火会に参加。紅白をラジオでききながらホイル焼きをみんなで味わう。加山雄三や桑田はよかったが、団塊ジュニア以降の人口の多さを伺わせる内容、いつまでも沈みゆく昭和の残照を見送り続けている。初日の出を海でみて、天神岬のお風呂。北田天満宮で初詣。家帰って寝る。なぜか配信で「リコリスピザ」。鍋つくって食う。去年はどうだったと振り返ってみることもなく、新年だからなんだということもなし。

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